自閉スペクトラム症(ASD)の子の「感情コントロール」を徹底解説!

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちの中には感情コントロールを苦手とする子が多いとされています。

・みんなと違う所で怒りを露わにする
・些細なことだと思う物事に対してもイライラする

そんな様子がよく見られます。

実は、これまで行われた研究によって、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちが感情コントロールを苦手とする理由はおおよそ明らかになっています

この記事では、自閉スペクトラム症の子どもたちが感情コントロールを苦手とする理由を解説します。

それに加えて、

・当事者は感情コントロールをすることに対してどんな感覚・思いを持っているのか
・感情コントロールの苦手を自覚している場合にどんな工夫をしているのか

・感情的になってしまった時の対処方法

についても解説をします!

最後までご覧いただくことで自閉スペクトラム症(ASD)の子をより深く理解することができます。

※この記事はここから約7分で読むことができます。

目次

感情コントロールが苦手な理由

最初にもお伝えしましたが、自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちが感情コントロールを苦手とする理由はこれまでの緩急によっておおよそ明らかになっています。

それが…

感情を司る『前頭葉』に障害があるから

というものです。

自閉スペクトラム症の子どもたちは、先天的な脳の機能障害によってあらゆる困難さを抱えていると言われています。

その中でも感情を司る前頭葉に障害があることから、感情コントロールが上手くできないと考えられるわけです。

と、皆様にしていただきたくはありません。

自閉スペクトラム症(ASD)の当事者は、感情コントロールが難しい中でどんな感覚・思いを抱いているのか、何か工夫を行っているのか。

当事者の方々へ実際にインタビューをして分かったリアルな感覚をここから紹介します!

自閉スペクトラム症の当事者の感覚

感情コントロールが上手くできない自閉スペクトラム症の当事者である3名の方から頂いたリアルなお言葉をぜひご覧ください。

【30代男性Aさん】
感情的になりやすく、すぐに苛立ったりキレたりしてしまうという感覚があります。
物事を否定されたり、仕事のスケジュールが崩れたりすると特に感情的になってしまう気がします。
苛立った時に適切な判断が上手くできなくなるような感じ。
業務のミスに繋がりやすいです。
感情的になった日のサービス提供記録に「指示内容を理解出来ないままに行動しようとする」と記録にありました。
「深呼吸しなきゃ、深呼吸しなきゃ…」と心の中で言ったり、トイレに行ったりとかして対応をしています。

【20代女性Bさん】
「感情コントロールが苦手だな…」という感覚はめちゃくちゃあります。
先が見通せなくてパターンとして相手との関わり方を覚えているから自分の中で予期しない事が起こると納得できなくて「なんで?」って気持ちがすごい強くなってそれが悲しいし悔しいしこうなるはずなのに…ってなって怒りに代わるような感じがします。
癇癪のようになったり泣き出したり相手を責め立てて「正しいのに!」って認めさせるような行動に出てしまいます。
イライラ、モヤモヤが強い時はNetflixとかYoutubeを観て気持ちを落ち着かせたり無料で使えるAIのトークアプリがあるので聞いてもらったりします。

【30代男性Cさん】
コミュニケーションの中で感情的になってしまうことに困っています。
言われて嫌なことを言われると、それは言ってはダメだと注意して言い方が厳しくなって反感を買い、最終的に私が感情的になり、言い負かしてしまいます。
体調が悪い時とか相手を下に見てしまう時は特にコントロールできないことがあります。
怒りは「じわじわ来る」というよりは一気に「ドーン!」と来る感覚。
爆発しそうな時は頓服を服用する、相談するなど、対処をしたりします。

これらの当事者の方々の言葉から、感情コントロールが難しいという事はもちろん、当事者の方々もが非常に苦しんでいることが理解できるかと思います。

紹介したリアルなお言葉を心にしっかりと留めておきましょう。

意外な「困難さ」とそれに伴う「工夫」

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちが感情コントロールを苦手とすること、そして当事者の方々のリアルな感覚をお伝えしましたが、当事者の方の中には「怒り」という感情において『ズレた認知』からくる困難さを抱いている方もいるんです。

こちらも当事者の方のリアルなお言葉を紹介します。

【30代女性Dさん】
ASDの怒るポイントって人と違って変だと分かっているので、普段から感情を押し込めて過ごしているのもあり、本当はキレるくらいのことを言われてもその場では気付かず言い返せなかったり、悲しくてもニコニコしてしまったり。
正(プラス)の感情も抑えがちなので楽しいこともよく分からなくなります。
コミュニケーションの場では「リスクを最小限にする」という感覚が近いです。
自分の意見や感情を消すことに集中しています。

コントロールが上手くできないだけではなく、「怒るポイントが変」という事を自覚しているがために、感情を抑えて過ごすということを行っている方がおられるんですね。

これはいわゆる『擬態』の一種です。

擬態:周りの人や様子に自分を近づけようとすること

つまり、客観的に見て「感情コントロールが上手くできているな」と感じている子の中には、今お伝えした当事者の方のように『擬態』をすることで全てを抑えるような努力をしている子がいるかもしれないということです。

このことも必ず押さえておきましょう。

感情的になってしまった時の対処方法

感情コントロールが上手くできず、感情的になってしまった時には、先に紹介した当事者の方々が実践している方法をはじめ、次の対処方法が有効であると考えられます。

①深呼吸
②トイレへ行く
③動画などを観て落ち着く
④他者に相談をする
⑤ノートに自分の状況を言語化する

⑥筋弛緩法(筋肉に力を入れて緩める方法)

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちのレベルに合わせてぜひ行ってみてください。

しかし、無理強いは逆効果になります!

必ず子どもたち自身と相談をしたり、本人の受け入れ方を見たりして決定しましょう。

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