【この記事ではこれらが学べます】
①自閉スペクトラム症(ASD)の子が嘘をつくことができない理由
②「嘘」の仕組み
③嘘がつけないASD当事者の実際の感覚
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちの中には『嘘がつけない』という子が多くいます。
なんでも正直に言ってしまったり、ストレートな発言が観られたり…。
「確かに!」と共感できる方も少なくないんじゃないでしょうか。
では、どうして嘘をつくことができないのか…。
これには、自閉スペクトラム症の特性でもある
①空気や状況を読むことが難しい
②他者への共感が難しい
という2つの理由が考えられるんです!
この2つは自閉スペクトラム症(ASD)について調べたことがある方の中には知っている方が多いかと思いますが、真に理解をするためには「嘘の仕組み」と「当事者の感覚」を知ることが欠かせません。
「嘘の仕組み」と「当事者の感覚」についてここから詳しく解説しますのでぜひ最後までご覧いただき、自閉スペクトラム症の子が嘘をつくことができない理由について深めてほしいなと思います。
※この記事はここから約6分で読むことができます。

「嘘」の仕組みを解説!
そもそも嘘をつくことは、経験から学ぶ『後天的なスキル』であると考えられます。
「お世辞」「忖度」「気遣い」といった日本人らしい振る舞いは、まさに【小さな嘘(スキル)】であると言えるでしょう。
「本当は思っていないけど、これを言っておけばよいだろう」
「尊敬していないけど、これで一応の関係性は築けるだろう」
「そんなに心配していないけれど大丈夫?と声はかけておこう」
多くの方は、実際に嘘をつかれたり、他者の気持ちを考えたり、その場の空気や状況を読んだりする経験から徐々にこれらのスキルが培われ、上手に使うことができるようになっていくわけですが、最初にもお伝えしたように自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちには…
①空気や状況を読むことが難しい
②他者への共感が難しい
という特性があり、経験から【嘘をつく】ということを上手く学習できない傾向にあるんです。
そして、【嘘をつく】ということを学習できないからこそ、嘘を自分がつこうと思っても難しいんですね。
ここで押さえておいていただきたいのは、嘘をつくことは当たり前にできる事ではなく【経験などから培う一種のスキルである】ということ、そしてそのスキルの習得が、自閉スペクトラム症(ASD)の子は難しいということです。
ではここから、さらに深めていきます!
自閉スペクトラム症の当事者の方のリアルな感覚を知っていきましょう!
自閉スペクトラム症の当事者の感覚
自閉スペクトラム症(ASD)の当事者の方は実際にどんな感覚を抱いているのか。
嘘に対する直接的な感覚に加え、嘘がつけない理由として挙げられる【空気や状況を読むことが難しい】【他者への共感が難しい】という2つの特性を中心に3名の当事者の方から頂いた声を紹介します。
【20代 女性 Aさん(嘘がつけない)】
家族でさえ、体調不良を訴えられても「ふぅん、そう」という感じ。
目の前で知り合いが交通事故にあった時も冷静でした。
冷たいヤツと思われてそうで嫌だな、とは思います。
「嘘も方便」が理解できないので、馬鹿正直になってしまいます。
【20代 女性 Bさん(空気が読めない・他者への共感が難しい)】
意味もなく隣の子の頭を叩くことがあり、『何であんなことするの?』と怒られることがありました。『何でそんなことをしたのか』を上手く答えられなかった上に、怒られる理由が分かりませんでした。
後々理解できるように
【20代 女性 Cさん(空気が読めない・他者への共感が難しい)】
今まで何気なく返していた言葉で相手に不愉快な思いをさせてしまった経験があります。
小中学校は地元の学校で元から知り合いが多く「何となく変な子」の枠に入れてもらうことができたのに対し、高校では一見普通っぽく見えるのに空気が全く読めなかったことで、困り感が今までと段違いでした。
3名の当事者の方のお言葉から、嘘に対する直接的な感覚、嘘がつけない理由として挙げられる【空気や状況を読むことが難しい】【他者への共感が難しい】という2つの特性が関係した感覚が良く理解できたかと思います。
自閉スペクトラム症(ASD)の当事者の方が抱える感覚・苦しさをぜひ押さえておいてください。
嘘をつけないのは悪いこと?
「嘘をつけない」というのは決して悪いことではありません!!
もちろん、相手に直接傷付くことをいったり、秘密を漏らしたりするのはいけませんが、基本的には『素直さ』としてぜひ受け取ってほしいものです。
他者との関わりにおいては上に書いたように気をつけなければならないことがいくつかありますが、保護者・支援者の方々は特に、ここまでお伝えした内容を踏まえて、認めてあげてほしいなと思います。
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